リビングは棚の後ろから照らす間接光のみ。ポイントは、廊下と部屋を仕切るドアを取り去ったこと。白い壁が部屋の外までつながったことで、光の面は部屋の外まで広がった。「本当なら扉のところで終わりですが、部屋の中から見た時に、廊下にまで空間があるような錯角が起こります」。照明をつけた時と、消した時で空間の広さが変わるのもあかりの効果の一つ。
夜、窓に室内の明かりが映り込むと部屋が狭く感じるもの。
そんな時は、窓の外にも明かりを照らしてあげると、室内から外まで空間が続いているような効果が生まれます。
壁にかけた額の中にプロジェクターでテレビやDVDの映像を投影して、照明器具と同じように電源を切ると画面の存在が消えるよう工夫されたアイデア。「テレビも照明の一つと考えると、モニターの存在が気になって。映像もきれいなものであってほしいと思って」と、日常に癒しのひとときを演出。
階段を降りた目の前には、棚の景色が見える。「パッと見ると奥に広がっていて、リビングに続く感覚が持てるアイ・ストップになっています」。
以前、村角さんが住んでいた旧い一軒家。南向きの窓から柔らかく陽光が差し込むリビング。爽やかな自然光があふれる昼間とは対照的に、夜はスタンドなどの間接照明とキャンドルのあかりで、温かみのある雰囲気へと変わる。照明器具で直接照らすのではなく、大きく白い壁を照らすことで光が拡散し、あかりに包み込まれるようなような感覚に。
床に置いた台から宙に浮いたステップへとつながるユニークな階段。階段内側のレモンイエローの壁に自然光が射し込み、白い空間に印象的なアクセントを作りだす。
寝室にはアッパーライトを使い、
寝る前の心和む時間を演出。
2階の窓は簾がかかり、しっとりと
落ち着いた光に。夜は棚の下から
照らされる間接照明を使用。
「照明は図面上でイメージして、具体的なスペックを落とし込む仕事。時間軸でも変化するから、説明しないと分からない部分が多いですが、それに気づいた時の感激はすごい!」。最近は、意外にも若い世代からのデザインの依頼も多いという村角さん。あかりによって、同じものの見え方が高いクオリティに引き上げられる、その効果を大切に感じる人が増えてきているようです。
消せば存在がなくなるし、弱めたり、部分だけ残して消したり、あかりのバリエーションはたくさんあります。家具はオーダーして、セットすれば完成ですが、あかりはつねに変わっていきます。「照明って、毎日、変化を楽しみ続けられるもの。一回設計したら終わりではなく、いつも自分が心地いいなと感じながら生活できることが大事だと思ってます」。日ごろ、忘れてしまっている住まいのなかのあかりを思い出して、感じるようになれば、暮しを照らす照明がもっと楽しめるはずです。
蛍光灯1灯で済ませがちなキッチン回りのあかりですが、昼と夜で光を使い分けると印象がぐっと変わります。「壁全体を白くして、光がなじみやすくしていくことで変わります」と、ここでも照明器具だけでなく周囲の色が大切です。夜は蛍光灯のあかりは強く感じられるので、白熱灯のスタンドライトを置くのが村角さんならではのアイデア。キッチンにスタンドとは意外な組合せですが、手元は十分に照らせます。住まいのなかで別扱いしがちなキッチンですが、スタンドを置くことで、ダイニングなど他の間接照明とのバランスも取れます。空間をトータルに演出する方法として、簡単に試せるのもうれしいですね。
むらずみ・ちあき。女子美術短期大学造形科を卒業後、「近田玲子デザイン事務所」に就職し、実務を通じて照明デザインを学ぶ。01年に照明デザイナーとして、個人事務所『spangle(スパンコール)』を設立。商業施設、オフィス、住居、イルミネーションなど幅広いジャンルで、人の気持ちと空間をつなぐあかりを提案する。
ご協力
「spangle(スパンコール)」
東京都港区赤坂6-9-17 grow102
03-5545-3017
http://www.spangle.jp
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